アスファルト防水とは、アスファルトルーフィング類を加熱溶融したアスファルトで下地層に貼り付けながら何層かに積層し防水層を構築する防水工法の一つじゃ。
何層もの防水層を構築することから、防水層の厚みが厚く防水性能には安定性がありますが工期も長期化しやすく工事費用も高額になる傾向があります。
アスファルト防水は古くから認識されている防水で歴史も古く、日本では既に100年近くの実績がある安定性の高い防水工法であると言えるじゃろう。
尚、アスファルト防水を行う際は、現場でアスファルト加熱時に煙と独特の臭気を放つというデメリットがある。
その為、アスファルト防水工事を行う際は、工期の確認と近隣近所への配慮を行うことが求められるのぉ。
アスファルトルーフィングとは、合成繊維や板紙にアスファルトを含浸させた建築用の防水材料です。
アスファルトフェルトの表裏両面にアスファルトを被膜し鉱物系粉末を付着させ生成します。
アスファルトルーフィングは、ビルの屋上や家屋の屋根、鉄骨建築物ではコンクリートスラブの陸屋根などに使用され、雨水が建築物内に進入する雨漏りを防止するために用いられます。
アスファルトルーフィングに砂の粒子などを付着させ粘着性を抑えたものを砂付ルーフィングと呼びます。
アスファルト防水ではアスファルト自体の粘着性が高くゴミを吸着しやすい特性があるため、仕上げ段階で砂を付着させゴミや糸くずの付着を防止する働きがあります。
尚、仕上がり時に砂の粒子などを付着させる工法を砂付ルーフィング工法と呼びます。
アスファルト防水は長年の歴史ある防水工法であり、その施工方法も改良が重ねられてきておる。
尚、アスファルト防水の工法は、大きく3種類の工法に分類することが可能じゃ。
ここからは、それぞれの工法の内容と特徴について確認しておくとしよう。
アスファルト防水熱工法は、溶融したアスファルトルーフィング及びストレッチルーフィングを防水工事用アスファルトで貼り重ねながら施工する日本でも最も歴史のあるアスファルト防水の工法です。
何層にも重ねて防水層を構築することから防水性能としては信頼の高い工法ですが、現場でアスファルトを溶融する溶融釜が必要となる為、密集地や狭い場所では工事が行いにくいという欠点があります。
また、アスファルトを溶融する際に発生する独特の臭気があるため、熱工法で工事を行う際は事前に周囲との関係を築いておく事も重要です。
アスファルト防水のトーチ工法とは、改質アスファルトルーフィングシートへの接着時に溶融アスファルトを使用せずにトーチと呼ばれるバーナーを使い、改質アスファルトルーフィングを直接溶融して接着する工法です。
熱工法同様にアスファルトを溶融する際の臭気が発生し独特の臭いが生じるデメリットが有り、また接着部全体を均一に満遍なく一定温度以上に熱する必要があります。
接着時の接着部の管理を怠らなければ施工の難易度自体はそれほど高くない工法で改修工事などに広く採用されております。
アスファルト防水冷工法とは、ゴムアスファルト粘着層を特殊コーティングした改質アスファルトシートを貼り重ね何層にも積層していくアスファルト防水工法です。
冷工法では、熱工法のデメリットであるアスファルト溶融時の独特の匂いの発生と煙の発生が抑えられるため、密集地や狭小地でも施工が可能であるという大きな利点があります。
裏面には積層された粘着材が付着しており下地に直接貼り付ける事が可能です。
コンクリートやウレタンなど多くの防水資材にも相性がよく大掛かりな溶融釜を必要としないため幅広い改修工事で行われている工法です。
アスファルト防水の耐用年数は「建築防水の耐久性向上技術」に示してある目安によると露出アスファルト防水で13年、アスファルト防水押えコンクリート仕上げで17年と定められております。
この17年の耐用年数は防水工法の中では最長であり、最も信頼の高い防水工法です。
但し、この耐用年数は会計上の減価償却用の耐用年数とは異なり、建設大臣官房技術調査室が監修する算定方法に基づく耐用年数の目安としての数値である点を把握しておく必要があります。
現実的にはアスファルト防水押えコンクリート仕上げの場合、17年程度の期間に渡り防水性能を保持するというあくまでの目安としての数値です。
防水工事及び防水層の保証期間は耐用年数とは異なり各メーカーによって異なります。
また、改修工事を行う時期と保証期間の期限も現実的には別物であると考えるべきです。
保証期間が過ぎていても現実的には数十年というスパンで改修工事をせずに問題なく利用され続けている建築物も多くあります。
アスファルト防水は、シート防水や塗膜防水と比較すると厚みがあり信頼性の高い工法です。
しかし、工事費用が多額となりやすく簡易的に保証期間に合わせて改修工事を行う選択をする事は難しいというのが現状でしょう。