リフォーム1000 >> 屋根・屋上・防水工事 >> 屋上緑化の効果・2大問題点
屋上緑化とは、文字通り建築物の屋上に木々や植物などを植え緑化することじゃ。
近年、都心部や住宅密集地で問題となっているヒートアイランド現象。
屋上緑化は、このような環境問題対策としても設置は進められており社会的にも注目されてきておるのじゃよ。
屋上緑化の目的は、前述したような環境問題対策のほか、屋上庭園で家庭菜園を楽しむ趣味的な目的や、企業の自社ビルなどではイメージ戦略などを目的としてるケースも有ります。
尚、屋上緑化の効果は、やはりヒートアイランド対策の根源である地表からの放熱の発散です。
土や植物は蒸発・蒸散を通して潜熱として熱を放出する働きがあるため太陽光の日射による地表の加熱を抑える効果があります。
この屋上緑化の効果は一棟単位では微小であっても地域的に取り組むことで確実に加熱を抑制する効果があると研究結果が報告されております。
元々地球上に存在していた地表の多くは土や植物から道路などのコンクリートや建築物、線路などの鉄鋼物へとその大半の割合が変化してきました。
特に都心部におけるヒートアイランド現象の進行は深刻化しており、この根本的な対策としてビルなどの建築物の屋上を活用する屋上緑化計画が少しずつ進行してきております。
屋上緑化は前述したように地域で取り組むことでより多くの効果が得られるものであり、国土交通省が提示している屋上緑化整備計画など国が主導となって屋上緑化を促す取り組みがなされております。
また、既存住宅の屋上スペースで屋上緑化工事を行う際は、各地方自治体ごとに内容は異なるものの助成金制度が準備されております。
尚、屋上緑化助成金制度では、各自治体ごとに申請方法や助成金の支給条件が異なりますので事前に確認が必要です。
屋上緑化には薄型緑化と庭園型緑化の2つのタイプの屋上緑化があります。
薄型緑化とは、平米荷重60kg以下に抑えた屋上緑化の事で、荷重問題を考慮せずに建築されている既存住宅の屋上に施工する場合などでも対応しやすい緑化方法です。
薄型緑化では平米荷重60kg以下という制限があるため使用する植物も芝やセダム類などに限定されるのが特徴です。
庭園型緑化とは、平米荷重60kgを超える屋上緑化のことで土壌の厚さによって様々な植物や樹木にも対応が可能です。
庭園型緑化を計画する際は建築物に加わる荷重が大きな焦点となるため、事前に荷重を想定した構造設計が必要となります。
屋上緑化は、建物を熱から守る実質的なメリットの他、積極的に導入を検討する場合は幾つかの条件はあるものの助成金制度なども整備されております。
その為、これらのメリットを考慮して屋上緑化計画を設計されている方も多いかもしれません。
しかし、実際に屋上緑化を実施するには幾つかの問題点を把握し事前に対策を講じておく必要があるので注意が必要です。
ここからは屋上緑化の代表的な2つの問題点である「屋上の耐荷重対策」 と「屋上緑化の防水対策」について確認していきましょう。
屋上緑化の一つ目の問題点は、建築物の屋上の耐荷重に関する問題です。
前述した本格的な庭園型緑化を行う場合は、構造設計及び耐荷重の確認が必要です。
一般的に屋上緑化を行う場合の建築物の構造はSRC造、もしくはRC造の陸屋根構造建築物ですが、木造のフラットルーフなどで緑化計画を行う際は、構造上より慎重に計画を行う必要があります。
また、客土の重量は10センチメートルの厚さごとに平米荷重が140kgにもなります。
その為、大型の樹木を植えたい場合は土の荷重だけでも大きな負担を建築物にかけることになるため、同じ密度でも重量の軽い軽量人口土壌などを採用するなどして対策を検討しなければいけません。
既存の建築物の屋上緑化を設計する際は平米荷重60kg以下の薄型緑化を採用するケースが大半です。
この薄型緑化による屋上緑化で費用対効果の高い方法にセダム類の植物で屋上を覆う方法が近年改めて注目されつつあります。
セダムとはベンケイソウ科に属するマンネングサ属の属名で耐乾性に優れた多肉植物として知られております。
セダムは気温が極端に高くなると水分の蒸散量が低下するため、熱放散の効果は他の植物や樹木にやや劣るとされております。
しかし、乾燥に強い特性があるため毎日のように水やりを必要とせず大半は雨水で間に合うためメンテナンスや手間という観点から見ると魅力的な植物であると言えます。
また、セダムは少量の土壌でも成長する強い植物で薄い土壌でも栽培が可能であるため軽量化が可能です。
軽量で設置も容易であるセダムによる屋上緑化は今後更に普及していくことが見込まれております。
屋上緑化のもう一つの問題点は、建築物の屋上の防水対策に関する問題です。
屋上に施す防水処置は雨漏りを防止する下地を選択する事が重要です。
屋上緑化の防水としてはアスファルト防水やFRP防水、コンクリート躯体防水が理想ですが植物を植える以上、植物の根が防水層を突き破らないように耐根シートを敷く必要があります。
耐根シートとは、耐水性、破裂強度に優れ植物の根の成長によるシートの貫通を防止する庭園型緑化には欠かせない製品です。
植物の根の力は想像以上に強く、樹木によっては数年でコンクリートも貫通する力があると言われております。
屋上緑化では、この植物の根の対策を怠ると漏水、雨漏りの原因となり建物そのものを傷める可能性があるため注意が必要です。